復讐の華

美穂と教室に向かっているときも笑顔が溢れて止まらなかった。


その途中の廊下で伊織とすれ違った。


彼は私を一瞥すると何も言わずにただ通り過ぎる。


圧倒的に扱いづらい。どうやったら心を開いてくれるだろうか。


せめて普通に話せるくらいにはならないと。


午後の授業は、これから水憐の倉庫に行くことを考えてはソワソワして集中出来なかった。


そういえば彼女の姿はまだ見ていないけど、倉庫では会えるだろうか?


ああ早くその顔を拝みたい。


今度はあなたが墜ちる番だ。


だけど焦りは禁物。じっくりと一人ずつ、堕としていかなければ。


『大好きだよ、華月』


澄んだ声で言われたそれが、何度も頭の中でリピートされる。

< 20 / 312 >

この作品をシェア

pagetop