復讐の華

「お前、ハナに八つ当たりに来たのか?」


「せ、晟也っ…!」


彼が来た途端、分かりやすく狼狽える。


学校の前まで来ておいて、彼と鉢合わせる可能性は考えていなかったのだろうか。


それともその怯えは今向けられている冷たい瞳に対して?


「悪い來、俺の所為だ。話付けてくるからハナ連れて先に行っててくれ」


晟也の言葉に、來は掴んでいた女の手首を離す。そして優しく私の腰に手を回してこの場から離れさせた。


バイク置き場に着くと、ようやく來は口を開く。


「何もされてないか?」


「うん、叩かれる前に來が来てくれたから」


優しく私を気遣う。叩かれずとも彼の同情を買えてしまった。


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