復讐の華

「もっと危機感持て。1人でどっか行くな」


呆れられたように吐かれるため息に、私は身体をビクつかせる。


「ごめん、怒ってるんじゃないんだ」


小谷沙耶のこともあったから、來はきっと私のことを二度と傷付けたくない筈で。


どれほどが自惚れなのか分からないけど、計画していたよりも大分速いスピードで、彼は私に呑み込まれていっている気がする。


「分かってる。來が来てくれて良かった…」


向けられた掌に震えが止まらないかのように、脆い女を演じる。


彼は躊躇いながらも、そっと私を抱き締めた。


それはあの星の下で彼が見せた弱さ以来だった。あのときはお互い昂っていて、求めるように抱き締め合ったけれど、


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