復讐の華

伊織が病院に行くのに付き合ってからというもの、彼に懐かれている気さえしていた。


多分それは私の自意識過剰だと思うけど。


「何もされてないよ」


胸の前で手を横に振る私を伊織が訝しげに見る。


「よく言う。叩かれるところだったのに」


無かったことにしようとした私を、來が許さなかった。


余程驚いたのか、伊織の首が忙しく私と來を交互に見る。


その様子に私は苦笑いを浮かべるしかなかった。


「何でそんなことになってんだよ、ハナ」


來もその答えを求めるように、今度は黙って私の返事を待っていた。


さっきは口出ししてきたくせに…。


今私がお茶を濁しても晟也に聞けば分かってしまう話だ。


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