復讐の華

嫌悪感を抱いているが故に見下し、軽く扱う。


いくら肌を重ねてもそこには何も残らないのに。


自分でもきっと分かっているんだろう。これが何の解決にもならないことを。


逃げだと分かっていながらこうするしか気を紛らわす方法を知らない彼は、毎夜違う女を抱き、何かから目を背けていた。


「とにかく、これに懲りたら派手な女遊びはやめろ」


信じて、仲間の為を思ってそう言った來の言葉がどの程度晟也の心に響いたのだろう。


來。貴方は良い総長だと思う。


知れば知る程、余計に思う。


貴方だけでも飛鳥を見放さなければ。


『汚い』なんて、言わなければ。


飛鳥だって水憐の仲間だった。どうしてもっとちゃんと、向き合ってくれなかったの?


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