復讐の華
7
彼女との全て
◇◇
青い空に風船が飛んでいた。
誰かが離してしまった風船。
もう戻ってこない、それ。
萎れて地べたに落ちているのを誰かが掃除するか、もしくは誰にも見つけて貰えないか。
その手を離してしまったらもう、戻っては来ないのだ。
「華月」
紘斗が横から私の名前を呼ぶ声に、そちらを向く。
「ん?」
「どうした、ボーッとして」
本当に。紘斗は私の変化によく気が付く。
「ううん、何でもない。行こっか」
心配をかけないように笑みを浮かべて立ち上がった。
歩き出した私の後を紘斗が追ってくる。
1人足りないこの光景にも慣れてしまった。