復讐の華

今ではすっかり信頼し合っているようだった。


伊織はずっと抱えていた幼なじみの彼女とのことが一歩進んだからだろうか。


晟也は…リンチに遭ったことで正気に戻った?


平和な雰囲気。まるで私を疑わない彼ら。


それも今日で終わりだ。誰もこんな笑顔は作れなくなる。


「ハナ、どうかした?体調でも悪い?」


もはや彼らに取り入る為の笑顔など必要ない。


その瞬間を今か今かと待っていた私は、冷えた目をしていた。


「ううん」


素っ気なく返事をした私に、美穂は不思議そうな顔をしただけでそれ以上突っ込みはしなかった。


いつもそう。彼らは肝心なところに踏み込んでこない。


< 243 / 312 >

この作品をシェア

pagetop