復讐の華

深く関わることを避けて、だから真実を見失うんだ。


「それで華月、話ってなんだ？」


隣に座る來が話を切り出した。


そのタイミングで丁度良く、携帯がバイブでメールの着信を知らせる。


その画面をチラリと見て、『始めるぞ』と書かれたそれに私は静かに息を吐いた。


「…話っていうのは、飛鳥のことだよ」


唐突に口にされた彼女の名前に、分かりやすく驚いた彼らは一斉に此方を見た。


小谷沙耶が追放された日。飛鳥の裏切りは無かったと知ってから、今日まで。


結局あの子のことは忘れたかのように、彼らの中で話題に上がることは無かった。


いや、忘れたかったのかも知れない。だから意識的にあの子を遠ざけていた。