復讐の華
扉を隔てた幹部室からも、階下で叫ばれている怒声が聞こえる。
明らかに只事じゃない事態に美穂が不安そうに私の傍に寄ってくる。
「大丈夫だよね…?」
「大丈夫だよ」
美穂が心配しているのは勿論、皆んなの無事だろう。
紘斗が連れて来た彼らがどれくらい危険なのかはいまいち分かりかねている。
だけど流石に、立てなくなった人を更に痛め付けるようなことはしない筈だ。
「ねえ、さっきの…飛鳥の話って何なの?」
大丈夫だよと言った私の言葉に安心したのか、気になって仕方なかったのだろうそれを尋ねた。
美穂は真っ直ぐに私を見据える。
不安が滲むその目の中に強い芯のようなものを感じた。