復讐の華
痛みに顔を歪めてようやく立ち上がった來は私の元へ来て手帳を見入った。
確かな目で、書かれている文字を追っていた。
そして、違和感を覚えたかのように眉間に深くシワを寄せる。
彼は何度も何度も読み返していた。飛鳥の言葉を一つも逃さないように、力のこもったその目で。
「どういうことだ…?」
口をついて出たように言われたのは、疑問。
「何が?」
目の前に立つ來は混乱しているように見えた。
前のページを捲り、またその前のページも。
抱いた疑問の解決の糸口を探すべく、彼は必死になっていた。
そして、パタリと手帳を閉じた來は脱力したように腕を下ろす。
「そのセリフを言ったのは、俺じゃない」
重く瞬きをした後に、真っ直ぐ私の目を見てそう言った。