復讐の華
嘘を付くなと言い返したいのに、訴えかけるその目が酷く哀しんでいるように見えて。
私は言葉に詰まった。
「でも飛鳥の日記にちゃんと書いてある」
「だけど、俺じゃないんだ」
少し細められる切れ長の目が、私の心を締め付ける。
とても嘘を付いているように見えないその姿は私を混乱させた。
「どうしてそう言い切れるの?」
「飛鳥の日記に書いてあるから」
可笑しなことを言う。あの子の日記には誰の名前も出て来ない。
まるで真実を隠すかのように、上手く伏せられていた。
だけどその言葉を言ったのが來だと思い込んでいたのは、だってそうじゃなきゃおかしいから。