復讐の華

晟也の答えだけを皆んなが待っていた。


驚愕に開かれた目は段々険しくなっていく眉と共に細まり、次第に顔を下に向ける。


力一杯に結ばれた掌は微かに震えていた。


「…來、ごめん。俺ずっとお前に隠れて飛鳥と会ってた」


ようやく口にされた告白は、私が僅かに抱いていた願いを木っ端微塵に砕いた。


膝に力が入らなくなって、私は床に崩れ落ちた。


それに1歩遅れた紘斗が私を支える。


それはまるであの時と同じじゃないか。飛鳥を失ったあの冬の日。


私はまた、あの子を失った。可憐で純粋だった飛鳥の偶像が、音を立てて崩れてゆく。


飛鳥は彼らに一方的に捨てられたと思っていた。だけど、それは一方向からしか物事を見ていなかった故の思い込みだったの?


< 266 / 312 >

この作品をシェア

pagetop