復讐の華

美波がコンビニにいるうちにこの場から離れられなかったのなら仕方ない。


お願いだからこのまま何も言わずに引き下がって。


「うん、分かった」


そんな願いが通じたかのように美波は私に向かって手を振った。


良かった、絶対にこの人たちは安全な人ではないもの。私だって紘斗がいなければ彼らに付いて行くことはなかった。だから美波が黙って帰ってくれて私は安堵した。


「何処に行くの?」


「前に華月ちゃんも来たことある所だよ。そこで紘斗が待ってるから」


ああ、あの場所か、と私は記憶を辿った。初めて彼らと会ったのは廃れた事務所のような、確かそんな所だった。


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