復讐の華

彼らが運転する車に乗せられ、私はあの街へ戻ってきた。


そういえば年齢なんて聞いたことなかったけど、もしかしたら彼らは成人しているのかもしれない。私より年上なことはまず間違いないだろう。


車から降りて、紘斗が待っているという例の建物に入る。


だけど紘斗の姿は見えなかった。大して広くない建物だ、隠れる場所なんてない。


そもそも紘斗が隠れる理由もない。


「紘斗は?」


私の後に続いて入って来た彼らに問う。何故か一人の男が後ろ手にガチャリと鍵を閉める音が聞こえた。


怪しいその行動に薄ら寒い何かが背筋を撫でる。


無意識のうちに後退していて、ソファーの脚につまづいた私はそのままソファーに倒れ込んだ。


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