復讐の華

「避けろ!」


その叫びが聞こえた直後、派手にガラスが割れる音。


流石の男たちも私から手を離し、その音の先に目を向けた。


床に散らばるガラス片と、大きな石。どうやら外からこの石を投げて、ガラスを割ったようだった。


「華月っ!」


耳に飛び込んできたのは、あの人の声。彼らの中で唯一私を華月と呼ぶ人。私が無意識に助けを求めていた人。


…もう二度と、私の名前を呼んではくれないと思っていた人。


「誰かと思えば、俺らがいたぶった族の総長さんじゃん」


そう。割られたガラスから扉をぶち破って姿を現したのは、來だった。


そしてその隣には紘斗が。私の上から退いた男は、鋭い眼光で2人を睨んでいた。


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