復讐の華

來は、格段に強くなっていた。火事場の馬鹿力みたいなものだろうか。


來と紘斗が互いに背を預け合って戦っているその様は、まるで信頼出来る仲間のようだった。


だけどやっぱり数には勝てなくて。來も紘斗も取り押さえられて万事休すか、と焦ったとき。


「來!華月は!」


沢山の足音が聞こえたかと思うと、伊織を先頭に水憐メンバーが此処に駆けつけた。


逃げないように縛られた私の姿を見付けて眉をひそめる伊織。


「メンバー総出かよ。この女はお前らを裏切ったんじゃなかったのか?」


そうだ、そうなのだ。あの日に全てが分かって、伊織だって騙されたことを自嘲気味に笑っていた。


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