復讐の華
彼らの前ではか弱くて可愛い女の子を演じているみたいだけど、私には分かる。
彼女の本性がどんなに下劣で、ズル賢いものか。
「華月だ」
來がただ一言、それだけ言った。
きっと彼女が聞きたかったのは名前なんかじゃないのに。
「そう。私は小谷沙耶。水憐の姫です」
來の隣に腰を下ろして、私に臆することなく口にした。
姫というネームがその自信を繋げているんだろう。
來の隣に私が座っていたらもっと動揺していたかもしれないな。
まあいいか、今日くらいは彼女に優位に立たせてあげよう。
小谷沙耶は來の肩に寄り掛かり、退屈そうに携帯を弄っていた。
彼女が来てから晟也も美穂も、パッタリと口を開かなくなった。