復讐の華
見上げるように彼女の目を見た。
「水憐の姫になったの?」
座っている私を数人の女が立ったまま見下ろす光景はどう見たって威圧的で。
だけど怒りが私にあるようにも見えない。
「なってないよ」
そう言うと彼女はふーんと信じてなさそうにゆっくりと数回頷いた。
そして何故か横に従えていた女たちを離れさせて、自分は美穂の席に座る。
知らずのうちに顔が強張っていた。
一対一で何を話すつもりなのか。
絶対にないと思いたいけど、まさか私の正体を知っている、とか。
「忠告してあげる」
後ろ向きに椅子に座った彼女は声をワントーン下げて話し始めた。
「小谷沙耶には気を付けて」