復讐の華
「〜〜!」
來に突き放され、この場に居るのが耐えられないように小谷沙耶は飛び出して行った。
來も晟也も、誰も追いかけようとはしない。
本当に名目だけの姫なんだ。
「沙耶ちゃん!」
私は大袈裟に彼女の名前を呼んで、後を追うべく立ち上がった。
足を踏み出した私の腕を來が掴む。
「ほっとけよ」
「悪いのは私だから」
申し訳なさそうに眉を下げて、健気な少女を演じる。
手を振り切った私を來はもう止めようとしなかった。
思った通り、倉庫を出てすぐの場所に小谷沙耶はいた。
彼女なら私を待ち構えていると思っていたんだ。