復讐の華

「これ以上水憐に近付かないで」


倉庫からは見えないのを良いことに、仮面を破って私に警告する。


こっちが本物の小谷沙耶。彼女を纏う雰囲気もさっきとはまるで違う。


「どうして?」


「私が水憐の姫だからよ。どうせアンタもこのネームに寄ってきたんでしょ?」


腕を組んで苛ついたようにまくし立てる。


「私はそんなつもりじゃ…。ただ、もっと來のことを知りたいの」


一番そのネームに拘っているのはあなたであって、私じゃない。


小谷沙耶の神経を逆撫でるように、わざとらしく怯えてみせる。


私が來を好きだと思えば、小谷沙耶はきっと私を追い出す。

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