復讐の華

「ふざけないで!」


彼女が手を振り上げる。


それが私の顔を叩く前に、その手首を掴んだ。


「今ここで私を叩いたら、あなたの仕業だってバレバレよ?」


冷静な私の言葉に釣り上げた目をした彼女は、ますます顔を真っ赤にして怒る。


掴まれた手を強引に振り払い、怒りに震えて私を睨んだ。


「絶対に追い出してやるから」


捨て台詞を吐いて小谷沙耶は私から逃げるように立ち去った。


良い調子。もっと怒って、本気で私を追い出そうとすればいい。


そうしたら私があなたを、突き落とすから。





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