復讐の華

男たちを捕まえられなかったことに、來が酷く苛立っているのが見て取れた。


恐らく彼らは男たちの顔を見ていないし、私もアイツらの正体を知らない。


だから真実を知りたければ私が言った唯一の手がかり、小谷沙耶に行くしかないのだ。


彼らは小谷沙耶を糾弾出来るのか。


大して好いてもいない彼女を姫に置き続けるのには、何らかの事情があるんだろう。


來は、それを私の為に切ることが出来る?


「どうする、來」


「まずは華月を家に送ろう。後は倉庫で」


車の中は終始無言だった。


家を教えたくなかったけど、この雰囲気で断るのは余りに不自然で、そうすることも出来なかった。

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