復讐の華

來たちの前だからか、わざとらしく私を気遣ってみせる。


今更そんなの逆効果なのに。


「華月に触るな」


手を握って来ようとした小谷沙耶の手を、來が払った。


あからさまな態度の違いに來の方を見た彼女は戸惑っているようだった。


今まで誰よりも自分のことを優先してくれた彼らが、手のひらを返したことが信じられないのだろう。


「どうしたの?來…」


弱々しく呟かれたそれはきっと彼女の本心だけど、もう彼らの心に響く段階にはいない。


「知らないフリすんのはやめろよ」


冷ややかな声。もうすっかり小谷沙耶のことは信じていないみたいだ。


彼の背中に隠され、庇われていると今度は私がオヒメサマになったようで。彼らの心の変わり様に笑ってしまいそうになる。


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