復讐の華
どうして小谷沙耶は水憐の姫でいられたのか、ずっと疑問に思っていたけど漸くその理由が分かった。
つまりはビジネスか。來の親の取引先の娘が小谷沙耶で、無下に出来なかったと。
小谷沙耶は親の会社が傾いているということよりも、來が本気で水憐の姫から降ろそうとしていることに驚いているようだった。
「來…ほんとに私を、捨てるの…?」
潤んだ瞳から涙が零れた。縋り付くように來の腕を掴む。
その声は畏怖に震えていた。
「ああ。二度と水憐に近付くな」
慈悲もない彼の言葉は小谷沙耶をドン底に突き落とした。
蒼白な顔で膝から崩れ落ちる。
彼女の咽び泣く声だけが倉庫に響いた。