復讐の華

だけど、まだだ。彼女にはまだ償うべき罪が残っている。


私はその時が訪れるのを今か今かと、來の背中の影で待ち侘びていた。


「おい、來。これ…」


まだ小谷沙耶の泣き声が響く中、瞬が來に近寄り、ある動画を見せた。


その背中の影からそれを覗く。


きた。この日をどれだけ待ったことだろう。最高のタイミングで、小谷沙耶を最底に突き落とす材料が揃った。


私は來の服の裾を引っ張った。それに気付いた彼が後ろを振り返る。


眉を下げて、怯えに震えた可哀想な女が彼の目には映っているだろう。


「それ、私を襲った…」


それだけで十分に伝わったようだった。もう一度携帯の画面を見る。静止状態で荒い画質だけど男が3人いるのが分かる。


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