復讐の華
「こっち」
真っ直ぐ進もうとしていた私の腕を紘斗が引っ張る。
「こんな路地裏通るの?」
かつて此処に住んでいた私でさえ通ったことのないような、陰気な場所。
細い道を何度か曲がり、ようやく少し拓けた場所に出る。
拓けたといっても、使われていない事務所のような小さな建物があるだけ。
水憐の倉庫のような大きな建物ではない。
「此処が俺らの溜まり場」
慣れたように敷地に入ると、躊躇なく扉を開けた。
私は心の準備がまだ出来てないのに!
「お、紘斗ー」
中には4人の男がいて、笑顔で紘斗を出迎えた。
「コイツが華月だ」
紘斗の後ろを着いていた私を、自分の隣に並ばせる。