復讐の華
裏切りの元姫
◇◇
暗い部屋の中に、キャンドルのオレンジ色だけが妖しく揺れる。
鍵がかかっている引き出しから1冊の手帳を取り出した。
大切にカバーがかけられた、それ。
小さな頃から変わらない丸っこい字で綴られている日記。
『信じてもらえない私なんて、価値がない』
それが最後のページだった。いくら捲ってももうあの子の文字はない。
最後がそれだなんて、あまりに酷い。
それと同時に自分にも苛立つ。あの子が苦しんでいたことなんてまるで知らずに、のうのうと生きていた私の罪もまた重い。
きっと何度も私に相談しようとして、だけどこの境遇が私たちを遠ざけた。
何度だって思う。もう一度あの子に会えたら、絶対にその手を離さないのに。
◇◇