復讐の華

目は口ほどに物を言うとは言うけれど、本当にそれだ。


「華月にはちゃんと話す。それで、その話を聞いた後でも俺たちのことを信じられたら…水憐の姫になってくれないか」


次に動揺させられたのは私の方だった。


いや、この言葉をずっと待っていたのだから、ジワジワと溢れてくる興奮を隠せているのかが不安だった。


「おい、待てよ來。本気か?」


すかさず伊織が反論する。水憐で話し合ったんじゃなかったのか。


「本気だ。此処に出入りしている華月は、姫にした方が安全だからな。何か反対する理由が?」


そう言われると何も言えないのか、伊織は黙った。


姫って、牽制の意味でもあるんだ。水憐の名を聞いただけで逃げていく人もいるだろう。それと同時に、隙である姫を狙う人も出てくる。

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