復讐の華


「岸飛鳥は、水憐の姫だった」


過去形で言われたそれに、心が冷える。いや、今更彼らが何を言っても不満でしかない。


「俺らが高校入学と同時に先代から水憐を引き継いで、姫を作らなきゃいけないときに出会ったのが、飛鳥だった」


あの手帳にも書かれてあった。


入学式の日に屋上に出たら、不思議な人たちと出会ったと。


「飛鳥のことが気に入って、姫になってほしいと言ったんだ。多分最初は怯えながらだったけど、受け入れてくれた」


來はそう言うけど、あの子は断ったときの報復が怖くて仕方なく姫になったんじゃない。


私を見つけてくれて嬉しかったと、飛鳥はそう記していた。


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