復讐の華

ここでおもむろに晟也が立ち上がった。そしてそのまま幹部室から出て行く。


來はさして気にせずに、話を続けた。


「飛鳥が姫になって少し経って、俺たちは付き合った。メンバーとも凄く仲良くなって、間違いなく彼女は俺たちの仲間だった」


淡々と話しているように見える來は、心の内で何を思っているんだろう。


後悔か、自己嫌悪か。もう変えようのない過去に少しでも心を痛めているのだろうか。


「半年くらい過ぎて、やって来たのが沙耶だ。沙耶は俺の親がやってる会社の、取引先の娘で無下に扱うことは出来なかった」


運命が崩れたのはそのときから。


小谷沙耶さえ来なければ、今でもあの子は彼に、水憐に愛されていたかもしれない。

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