君は冬に華を咲かす
私はその後、何が起きたか分からない。
周りの焦る声、先生たちが必死に私を呼ぶ声、リンちゃんの泣き叫ぶ悲鳴、お兄ちゃんの大きい胸の中に抱きしめられ…私は気を失った。
目を覚ました時には白い天井があり、周りはカーテンに囲まれていた。
「あら?目を覚ましたの?もう大丈夫?」
保健室の先生が声をかけてくれた。
「あの、私…」
「入学式、いきなり倒れたのよ?記憶ある?」
私は必死に考えまくったが全然思い出せない。
「ハナぁぁぁ!!!」
リンちゃんの騒がしい声が保健室の外から聴こえたと思えば思いっきり扉が開いて大きい胸に抱きしめられた。
「お、お兄ちゃん?!」
「ハナぁぁ…心配したんだぞ!!」
「ハナぁぁぁぁ…」
リンちゃんも抱きついてきた。
「ねぇ…私…」
「神田 華《かんだ はな》さん、絶対この後、病院に行ってください。」
「え…?」
保健室の先生が真剣な顔をして言った。ただの貧血や寝不足で倒れたと思っていたが、全然寝不足でもないし、貧血なんてありえないと思った。私はいつも健康体だから。嫌な予感はした。
私はその日は授業を受けて家に帰り家族4人で病院に向かった。