普結くんは、桃にイジワル。
臆病な君の思うツボ 11
「…え、
終わり?」
「何?なんか言った、桃」
「ごめんリエちゃん、ひとり言…」
夏休み直前の教室はどことなく落ち着きがなく、
いつも以上に騒がしい。
明日から夏休み、
なんだけど。
「普結、お前の成績表どうなってんの…?
なんでそんな″5″ばっかなの?」
「逆になんで″5″がひとつもないの鈴木くん。
奇跡なの?」
「俺が最後に″5″に匹敵する評価をとったのは小2の時だよ!」
″5″に匹敵する評価…。
ああ、″よくできました″ってやつか。
今日も今日とて騒がしい隣の席の会話を盗み聞きしてうなだれる。
昨日のは何だったんだろう。
…夢?
幻?
そう思ってしまうくらいには
普結くんはいつも通りだった。