普結くんは、桃にイジワル。
「なーに桃、そんな成績悪かったの?
そんな落ち込みなさんな。
明日から夏休みよ?」
「いや違うんだリエちゃん…
いや違わないんだけど…成績は悪いんだけどさ…」
心はすでに夏休み気分のリエちゃんは、うきうきと旅行雑誌やらグルメ情報誌やらを机の上に広げている。
そう、明日から夏休み。
夏休みなのだ。
学校に一ヶ月とちょっと、ほぼ行くことのない夏休み。
…なのに。
普結くんとあたしの関係は曖昧なままで。
″どうでもいいなんて思ってないよ″
あたし確かに言ったよね?
あの言葉って、あたしからしたら結構がんばったんだけど。
「なあ、普結は明日からなにすんの?
遊ぼうぜ!」
「俺は明日から山に修行に出るから遊ぶ時間なんてない。以上」
「山?!山行くのか?!
いいなあ俺も一緒にいくー!!」
「断る」
鈴木のめげないしつこさが、今は羨ましい。
あたしもあんな風に、″一緒にいたい″
そう言えれば。