普結くんは、桃にイジワル。



「ねえ桃、あたしらももう帰ろ?
駅前のポルコで涼んでこーよ」

「…ごめんリエちゃん、
あたしちょっと…っ」

「桃?!
何、どしたの?」


スマホを握りしめたまま走り出す。
戸惑ったような声のリエちゃんにまともな返事もできないまま、
教室を飛び出した。







「…来たね、八宏さん」

「だって…っ、普結くんが呼ぶから…っ!」

「ラインって便利だね。
最近やっと便利さに気づいたよ」


暑い日差しを遮ってくれる中庭の大きな木の下で普結くんは待っていた。

にこにこしながらしゃがみ込む普結くんの隣に、
息を切らしたまま腰掛ける。


「…どうしたの?」

「何が?」

「何がって…あたしに用事があったんじゃないの?」

「用事あったのは八宏さんの方でしょ?
俺のこと見てた」

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