普結くんは、桃にイジワル。
「…うるさい、トイレに流されろクソ鈴木」
「ちょちょ!!急にめっちゃ口悪くない?!!」
「チャイム鳴ったよー、早く教室帰んなよ鈴木」
ガタガタと席につく周囲にやっと気付いたあたしたちは、
慌てて自分の着くべき席へと戻った。
先生が教室へ入ってきて、いつも通り点呼が始まる。
「…………」
「…なんかキゲン悪い?」
「別にっ!」
あからさまに機嫌の悪い声が出てしまった。
つくづく嘘のつけない女だ、あたし。
「…なに、寂しかったわけ?」
「な、そんなわけ!!」
「おーい八宏、先生の話聞いてくれ頼むー」
動揺のあまり立ち上がってムキになるあたしは、
自分から″図星です″と言っているようなものだ。
案の定したり顔で綺麗に笑う普結くんに、
不覚にも胸がギュッと締め付けられた。