普結くんは、桃にイジワル。
「…なんすか、あの人」
「ああ、笠原さんのこと?
なんか最近柚山にまとわりついてんのよ」
「………」
リエちゃんの言葉は事実だ。
思わず下を向いてしまった。
可愛らしい女の子が普結くんのことが好きだと堂々と公言してる。
…羨ましい、だなんて
あたしには思う資格もない。
こんなふうに影でコソコソ普結くんのことを見ているしかできないあたしには。
「…ほんっとにあの人は…」
「ん?鳴海くんなんか言った?」
「いや、なんでもないです」
「いやーそれにしてもさ、今年の夏のバーゲンはほんと熱かっ「八宏先輩、この前の話考えてくれました?」
突然リエちゃんの言葉を遮った大きな声。
びっくりして顔をあげれば、此方をまっすぐに見つめる鳴海くんの顔があった。
なんだかちょっと、怒っているような気がする。
怒ってるというかイライラしてる?
「…ど、どうしたの鳴海くん…?」
「この前の話。俺もう待てないっすよ」
「この前ってどの前だろう…
話が見えないんだけど…」
「夏休み中に出かけてその帰りに行ったじゃないですか。
付き合ってくださいって」