普結くんは、桃にイジワル。
臆病な君の思うツボ 2
「…っっっ!!!、
やっっと…やっと!!!クリア…!」
約2年付き合った彼氏に突然振られて早1週間。
あたしは手のひらにあるスマホに釘付けになっていた。
『ありがとうモモ…!
モモのおかげで俺、トップアイドルになれたよ…!!!』
「う…っ、
レイヤくんん!!!!!!
好きだよぉぉおお」
「おーいだれかこの人燃えるゴミに出して来てよー」
今日も今日とて冷たい声音の普結くんの言葉も耳に入らず、
あたしは画面の中で笑顔を振りまく赤毛の男の子に夢中だった。
「…なんなのあれ
どうしちゃったの八宏さん」
「彼氏と別れてからハマったアイドル育成ゲームにどハマりして、今日念願のファイナルステージをクリアしたらしいわ」
隣からビシビシと感じる二人分の冷たい視線もなんのその。
だれがなんと言おうと、このゲームは今やあたしの生き甲斐と言っても過言ではない。
これからは推しの為に生きよう。
そう誓った。