普結くんは、桃にイジワル。





「…で、どうなったんすか」

「一生懸命練習してたのよ…あの普結くんが…
なんか泣きそうになっちゃってさ」

「……いやちがうっしょ
なんで柚山先輩の話になるんすか」

「……え、じゃあなんの話…」

「俺らがどうなってんすか今って話」


体育祭準備期間はいつもより遅い時間に下校するから、
校舎を出たときにはあたりは真っ暗だった。

たまたま一緒に帰る約束をしていた鳴海くんと並んで歩くけど、
街灯がないとその表情が見えづらい。



「な、ん、で、俺が柚山先輩の話聞かなきゃなんないんすか。
この前の、アレかなり勇気出したんですけど俺。
無かったことになってんすか?」

「そんなことない!!!
覚えてるよさすがに…!」

「…振り回してくるなあ、八宏先輩」

「え、振り回してる?
あたし鳴海くんを振り回してるの?」

「…なんでちょっと嬉しそうなんすか」



< 131 / 179 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop