普結くんは、桃にイジワル。
だらだらとそんな会話をしながら集合場所へと集まったあたしたちは、
ダンッ!!!!!!!!!
突如響き渡った大きな音にビクッと肩を震わせた。
振り向くとそこにいたのは、
真っ黒な学ラン。
暑い中きっちりと詰襟を着込んで鉢巻きをした男子の集団だった。
「びっくりしたー…
そっか、今から最終調整なのね」
呟いたリエちゃんが周囲を見渡して言った。
「なんかざわついてない?」
確かに言われてみると、
周囲がやけにざわついているような気がする。
特に女子の黄色い声がちらほらと聞こえるような…。
「なあ、あれ…!」
鈴木にひっぱられて目を向けると、
飛び込んできた細身の学ラン姿。
「…普結くん」
思わず口にした瞬間、
まるであたしの声が聞こえたかのように普結くんが此方を向いた。
確かに目があって、
じっと見つめ返される。
「普結かっけー!!!応援合戦超楽しみ!!」
鈴木のはしゃぐ声に夢から覚めたような気分で我にかえった。