普結くんは、桃にイジワル。





体育祭は滞りなく進んでいく。

プログラムを見ると、次は借り物競走らしい。



…鈴木か。


大して見たくもないけどまあ一応応援してやるか。


「大して見たくもないけど一応見てやるか」


あたしと全く同じことを呟きながらリエちゃんが隣に腰を下ろす。

雷管の音が鳴って、
一斉に皆が走り出した。



「あ、鈴木だ」

「ただでさえ派手な頭で目立つのに
今日はアホな頭してるからますます目立つわね」


走るたびにぴょこぴょこと揺れるちょんまげで、すぐに鈴木だとわかる。

なかなか走るのは速い方らしい。

お題の書いてある紙をひっつかんだ鈴木は、立ち止まって何かを考えていた。



「なんで書いてあったんだろ」

「さあ…」


きょろきょろと辺りを見回した鈴木は、

脇目も振らず走り出した。



「ふーーーーゆーー!!!!!!」


大きな声がグラウンド中に響き渡った。

< 140 / 179 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop