普結くんは、桃にイジワル。
体育祭は滞りなく進んでいく。
プログラムを見ると、次は借り物競走らしい。
…鈴木か。
大して見たくもないけどまあ一応応援してやるか。
「大して見たくもないけど一応見てやるか」
あたしと全く同じことを呟きながらリエちゃんが隣に腰を下ろす。
雷管の音が鳴って、
一斉に皆が走り出した。
「あ、鈴木だ」
「ただでさえ派手な頭で目立つのに
今日はアホな頭してるからますます目立つわね」
走るたびにぴょこぴょこと揺れるちょんまげで、すぐに鈴木だとわかる。
なかなか走るのは速い方らしい。
お題の書いてある紙をひっつかんだ鈴木は、立ち止まって何かを考えていた。
「なんで書いてあったんだろ」
「さあ…」
きょろきょろと辺りを見回した鈴木は、
脇目も振らず走り出した。
「ふーーーーゆーー!!!!!!」
大きな声がグラウンド中に響き渡った。