普結くんは、桃にイジワル。



空気を震わす太い声、


隅々まで揃った振り。


全員同じ学ラン姿だからその迫力は凄まじいものだった。


″ じゃあプール掃除大好きな鈴木くんに全部任せるから楽しんできて。
俺は教室残って本でも読んでるから″



あんなこと平気で言ってたのに。


クラスの輪に入ろうとしなかったのに。


たくさんの人と関わるのが苦手だったのに。



普結くんが、頑張っていた。



「…かっこいいっすね」


ぽつりと言った鳴海くんの言葉に頷くのが精一杯で。


まっすぐに差し込む日差しの中、
汗を流した普結くんの顔が眩しかった。


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