普結くんは、桃にイジワル。
競技は接戦だった。
序盤も中盤もいい勝負で
どちらが勝ってもおかしくないと思っていた。
あたしの前に来るまでは。
「…あれ、あの人…」
めちゃくちゃ速い。
どんどん引き離されていく。
このままだとあたし、
かなり引き離されたまま走ることになっちゃう。
不安は的中した。
バトンを渡された時にはあっという間に敵の背中は離れていて、
かなり厳しい状況だった。
…だけど。
こんなに距離を離したまま、普結くんに繋げない。
「おおおりゃああああ!!!!」
持てる力すべて出し切ってでも、
距離を詰めてやる。