普結くんは、桃にイジワル。
「…さあ、これからどうしよっか。」
するりと手を離した普結くんはよっこらせ、なんておじいちゃんみたいな掛け声とともにベンチに腰を下ろした。
「これからって?」
あたしも真似して隣に腰を下ろす。
陽の光をいっぱいに浴びたベンチは、ほんのりあったかい。
「八宏さんは俺とどうなりたいの?」
「どう、って…」
まさか。
この男、″付き合ってください″を要求してる?
普通こういうのは男の子の方からビシッと決めるもんじゃないの?
「こういうことは男から決めるもんだって思った?」
「んな、なんでわかったの…?!」
「顔に出てるよ、全部」
言いながらフン、と鼻で笑いながら目を細めて笑う。
その顔を見ているだけで、こんなにも幸せになってしまうなんて。
「八宏さんは俺から言うべきだって指くわえて待ってるんだ?
俺への気持ちはそんなもんなわけ?」
「う…っ、」
言い方ずるい。
そんな言い方されると、なんだかあたしがものすごく小さい人間なんだって気分になる。