普結くんは、桃にイジワル。
あたしの生温い視線に気づいたのか、普結くんが顔を上げた。
ずっと押さえていた目は少しだけ赤くなっている。
まるで泣いたあとみたいだった。
「……なに」
「いや別に…
普結くんなんでずっと目押さえてんのかなあって」
「…ブルーライトカット」
苦しすぎる言い訳をしたその顔は、
どう見ても青白くて元気には見えない。
まさかこれが普結くんの弱点なんだろうか。
「…なにその目。
超キラキラしてんだけど腹立つ」
睨まれても全く怖くない。
完全無欠かと思われた彼氏の弱点が見つかったんだから。
にやける顔を抑えきれないあたしに、
口を開いた瞬間だった。
ジャァーーーーーン!!!!!!!!
大きな音を立てて画面一杯に映った白目の女の人。
映画は最高潮らしい。