普結くんは、桃にイジワル。
「桃、保健室で休んできたら?
あたし先生に言っとくから」
「うーん…
でもなー…」
あと2週間ちょっとでテストかあ。
毎回定期考査の度、超低空飛行の成績のあたしは授業を出席して内申点を稼ぐしかないのだ。
情けない話だけど…。
どうしよう、と悩むあたしにわざとらしく大きなため息をついた普結くんは、
不意にあたしの腕を掴んだ。
「考えたって八宏さんの小さい脳味噌じゃ何の解決もできないだろ。
ノートなら八宏さんのぶんも取っとくから、はやく保健室行ってきて」
「……あ、ありがとう」
「別にー。
風邪だったら隣の席の俺にうつっちゃうじゃん。
八宏さんのウイルスとかタチ悪そうだし」
いつもより早口で悪態をついた普結くんに引っ張られて、廊下へと連れ出される。
振り返ると、
教室に取り残されたリエちゃんのぽかんとした顔がちらりと見えた。