普結くんは、桃にイジワル。
 



「あれ?
柚山先輩…どしたんですか?」


聞き覚えのある声と共に奥のカーテンが少しだけ開く。

ちょこんと覗いた赤髪に、あたしのセンサーは鋭く反応した。



「レイヤくん…」

「鳴海くんじゃん。
どしたのこんなとこで」

「あ、俺…ちょっと熱あるみたいで」

「ええ?!大変じゃないっ!
あたしが看病してあげ「悪いけどさ、この変態女性も体調悪いみたいなんだよね。
ベッド使わせてあげてくれる?」

「………………いいっすよ、もちろん」

「何その長い間は…めっちゃ嫌々な顔してるじゃん」


「ほら八宏さん、鳴海くんの広い心に感謝しなよ?」


あたしの襟首を掴んでベッドに転がした普結くんは、あたしの顔をじっと見つめたあと大きなため息をついた。


「…そのため息の意味は?」

「チンパンジー以下の知能の人間と関わったことに対する疲労を表してる」

「チンパンジー…」

「チンパンジーに失礼かな」

「……………」

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