普結くんは、桃にイジワル。
文庫本から目を離さずに、前を向いたまま独り言のように言われた言葉。
どことなくトゲトゲしい気がする。
「なに、なんか機嫌悪い?」
「べっつに?」
「…変な奴」
首を傾げるリエちゃんに、同意の意味も込めてうなずく。
いつも変だけどなんとなく、今日は違う意味で変だ。
どことなく重くなった空気を打ち破るように、
派手に教室のドアが開いた。
「ふーーゆーーー!!今日は俺んちで遊ぼうぜ放課後!!」
「今日″は″ってなんだよ一度も行ったことねえよお前の家なんて」
元気よく教室へ突入してきた鈴木への当たりも
いつもの3倍くらい強い。
「なんだよ元気ねえなあー!!
腹減ってんの?」
「頼むから帰れよ、自分の星に」
「俺の帰るべきはもちろん、お前と同じ星…地球だぜ?」
「消えろ。頼むから俺の視界に入らないでくれ」
…やっぱり今日の普結くんは変だ。