普結くんは、桃にイジワル。
「あれ?
鳴海くん?」
だれもいないだろうと思って引き戸を開けると、
暗がりでも目立つ赤い髪。
ホチキスを片手に何やら作業している。
「なんでいるんすか?
また体調悪いとかじゃ…」
「ああ違う違う。
普結くんのお使いなの」
「お使い…?」
「今日委員会だったでしょ?
普結くんまた忘れてたみたい。
罰が悪くて資料取りにいけないからかわりに行ってきて、ってお願いされちゃった」
苦笑して資料を受け取ると、
鳴海くんはふぅんとだけ返した。
「八宏先輩ってあれっすか
柚山先輩と付き合ってんですか?」
「え?」
「違うんですか?」
「いや〜ないない…
あたしなんか普結くんにむしろ嫌われてるんじゃないかってくらい罵倒されてるよ?
ありえないよ」
「罵倒されてるんすか…
何したんですか八宏先輩」
「なんか気づいたら嫌われてたっぽいわ…」
自分で言いながら悲しくなって、
自嘲気味に笑って見せた。