普結くんは、桃にイジワル。





「普結くん、ライン教えてよ」

「…は?」


翌日。

早速普結くんの連絡先を聞いてみた。
案の定嫌そうな顔をしてあたしの顔を探るように見つめる。


「…なにが目的?」

「別に変な意味はないんだってば。
ただそういえば普結くんの連絡先知らなかったなーって思っただけ」

「俺の連絡先を出会い系サイトに載せる気じゃないだろうね?」

「…そんなことしないよ
あたしのことどんな人間だと思ってんの…。」


渋々と言った様子でスマホを取り出した普結くんに思わずため息が出る。

そういえば、普結くんって他のクラスメイトと連絡先交換したことあるんだろうか。


「ねー普結くん
クラスの人と連絡先交換したことある?」

「ないけど。
別に必要ないし」


予想通りの答えだった。
まあもともと友達もほぼいない普結くんのことだから、
不思議ではないけど。


本当に連絡先を交換した経験がないらしく、
操作に手間取った様子の普結くんとなんとかラインを教え合う。

写真もなにも設定していない、
面白みのないアイコンと″柚山普結″の文字がトーク画面に現れた。

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