普結くんは、桃にイジワル。
「柚山ってさあ、誰ともつるまず一匹狼で誰にでも当たり強いけど
桃には特に厳しくない?なんとなく」
あたしたちのやりとりを黙って聞いていたリエちゃんが、おもむろに口を挟む。
たしかに。
言われてみれば、普結くんからの当たりがあたしだけやたら強い気がする。
「いやーそんなつもりはないんだけどね?
なんていうか、生理的に無理なのかもねえ八宏さんみたいな悲劇のヒロイン女」
「悲劇のヒロイン女…」
「またの名を被害妄想女?」
飄々と言ってのけた普結くんの言葉にぶは、と吹き出したリエちゃん。
「…あ、ごめん桃。
言い得て妙だなあと思っちゃって」
「でしょ?
俺のいう事あながち間違ってないっしょ」
そう言ってまた文庫本を開いたこの男、
柚山普結。
うちの学年で一番の変わり者だ。